Mercedes's Diary -2ページ目

本日のお勧め

私のアパートの向かいは以前ビデオ屋さんだった。

大手のチェーンではないが、チェーン店ではあった。

新作はもちろん充実していた。しかし新作にも負けずに、結構古い作品も揃っていて

その辺に”店長のこだわり”が現れていた。

テーマによって紹介されるビデオが並ぶ一角もあり、その辺も楽しくよくそのお店に遊びに行った。

もちろんレンタルもしたが、ただぶらぶらと並んでいる古い作品のタイトルや、テーマによって紹介されている作品を見るのは、映画ファンには結構楽しいものだった。

たとえばクーブリックが亡くなると、彼の作品が並んだし、淀川長冶さんが亡くなられた時には淀川先生お勧めの10本がタイトルだけでなく、ビデオが並んだ。(これにはちょっとビックリした)


 私はその店が存在していた当時、そこよくある衝動に駆られる事があった・・・・・・・・・・・・・。


それはビデオを選んでいる人が、たとえば自分が好きなビデオを手に取り

”・・・・これ、借りてみようかなぁ・・・・でも、面白くないかも・・・・どうしよう・・・・・”と言う雰囲気をかもし出していたとしたら

素早く近づいて言って

「以前この映画を見ましたが、とても面白い映画でしたよ。どんな事でお悩みなのですか?ハッピーエンドじゃないかも知れない?俳優がイマイチ?そんな事考えないで見てみませんか?きっと今夜、あなたはステキな2時間が過ごせますよ。是非、借りてみてください!」

と、一気に話して、サッとその場を立ち去る・・・・・・・・。(本当はアパートの入り口から、その人が自分が薦めたビデオを本当に借りたのか、どうか、しっかりと確認して、借りたことが分かると私の任務は完了。


この思いはかなり激しくて、そのビデオ屋さんがなくなるまで、度々その衝動を感じ、しかし冷静に抑えていた。

でも1度やってみても良かったかなぁ・・・と今は後悔。

私の住んでいる町だからこそ出来た様な気がする。


1度、私の街の大きなビデオ屋さんで、本当に挑戦してみるのも良いかもしれない。


***フリーの映画アドバイザー:「本日のお勧め、いかがですか?」

                 お気軽にお声をお掛けください。

                 週末を楽しく過ごす為のビデオ、お勧めいたします!***


なんちゃってね!

寿命

 昔働いていた会社で。

私がいた部署の壁にかかっていたとても見やすい丸い時計が止まった。

白地に黒のアラビア数字、長針、短針、共に黒で、実にシンプル。だから見やすくもある。


 同僚と止まった時計を壁から下ろし、乾電池を新しい物と取り替えるため

乾電池の収まっているプラスティックのカバーをはずした。

そこに現れたの古びた単3の乾電池2個。そしてそれれ仕事を終えた乾電池には黒のマジックでこう書かれていた。

新品・・・・・・・・・・・・。


おぼれる

 いつもお邪魔している「漂着の浜辺から」のある日のブログにshigeyukiさんがスキューバーダイビングをされていたが今はスキンダイブを楽しんでいらっしゃるお話が書かれていた。

そこで以前から書ける、と思っていたが、なかなか実現しなかった事を書いてしまおうと思う。

まさに”書いてしまおう”は正しい表現だ。「さっさと書いちゃえ」


 ある夏私は日本の南の島に1人で出掛けた。

出掛ける前の日に押入れにある古いバスタオルにくるんでいた水中メガネとフィンとシュノーケルを

近くにあったスーパーのビニール袋かゴミ袋かに入れて、替えのTシャツと水着を入れて化粧品を入れて

文庫本を入れて、それで準備はOK.


 民宿に泊まり3日間たっぷりシュノーケルを楽しむ、それがプランだった。

2日間は良かった。3日目。南の方から台風が近づきつつある日だった。

シュノーケル3点セットの入ったビニール袋を民宿から借りた自転車のかごに乗せ

海辺まで10分程度のサイクリング。

着いてみるといつものビーチは誰一人いなかった。完全なプライベート・ビーチ。

白波が見えた。台風接近のためだ。

私は浅い場所でしか遊ばない。実は泳げないから。

プールでならば5,600メートルくらい泳げるかも知れない。でも平泳ぎ。

海は別物。

幼稚園の時、父が浮き輪を着けた私を私にはかなり深い所まで連れて行った。

私ははしゃいで浜辺にいる母に手を振っている。

そして大波が私と父を後ろから驚かし、私の浮き輪が波にさらわれた。

私は今もはっきり思えている。自分の口から小さな泡が連なって出て来て上に上がっていく様を。

海の中を真っ暗だと思っていた私はそこに自分の持っているクレヨンの青い色が広がっていて

それに黄色い色が交じり合っている事を発見した。それは太陽の光だった。

海底に沈んでいきながらそんな事を考えていた。時間にしてほんの何秒かの間。

父の両手が私の体を抱き上げてすぐに浜辺まで連れて行かれた。

私は泣いていなかったので父も安心したのだろう。父は私に聞いた「何か見えた?」

私は「魚が見えた」とうそを言った。それを聞いた私の家族は笑った。

とにかく私は泳げない。


しかし私はシュノーケルを始めた。台風が近づいているのに、前の2日より海の中は透き通っていた。

私はいつになく夢中になった。いつもは5分もたたないうちに顔を上げてどちらが岸かどちらが沖か確かめるのに。

そして気が付くとかなりの時間私は頭を上げていなかった。

頭を上げなければいけない。でも、”上げたくない”と思った。これは怖いからだった。

それでも頭は上げなければいけない。私は一応右肩が岸、左肩が沖と決めて頭を上げた。逆だった。

しかも右肩の先に見える沖は青々としていた。今度は振り返るのが怖かった。あの沖の青さは浅瀬では見れない色だから。

しかし振り向かないわけにも行かない。振り向いて私は目を閉じて天を仰いだ。

”あんな遠くまで泳げない”

それでもすぐに自分がシュノーケルを口にくわえていることに気付く。”これがあれば大丈夫、よしGO!”

頭をつけて泳ぎ始めて私は5秒もしないうちに頭を上げた。息が出来ない。軽いパニック状態。

私は自分を落ち着かせようと深呼吸をした。それも上手く行かない。

その時思いついた。”私は背泳ぎなら幾らでも泳げる”

私はすぐにクルリと再び沖を見る方向に体を向け背泳ぎを始めた。”ほらね、全然大丈夫。息継ぎだって平気!”

そう思い息を吸い込んで大量の海水を飲んだ。私はシュノーケルを加えたまま背泳ぎをしていた。

私はシュノーケルを口から吐き出し、一旦泳ぎをやめ、咳をして、そして息を整えた。

動揺している。整えたはずの息は浅くなり、そして速くなってきた。

「そうだ、フィンよ、フィンをつけているじゃない!フィンがあれば絶対大丈夫!」

そしてたったままでフィンが両足にきちんと付いている事を確かめる。

そして再び背泳ぎをして岸までたどり着いた。手が海底の砂をかき上げるまで背泳ぎをしていた。

海から上がり、一人で泣いた。大声で泣いた。誰もいなかった。海の波の音が聞えるだけだった。

しばらくして私は持って来ていたものを全部自転車のかごに入れ、民宿へ帰った。

誰とも何も話さなかった。

夜になってギルバートが電話をかけてきた。私は今日の事を話した。笑いながら、そして泣きながら話した。

ギルバートは言った。「二度と1人で出かけない事。1人で海に入らない事。必ず誰か人がいる所で海に入る事」


それから実に長い間私は海を見れなかった。映画でもドキュメントでも、たとえコマーシャルのきれいな魚の映像でさえ見ると心臓がバクバクした。

今では海の映画も、実際の海を見る事も出来る。しかし未だ海に入れない、泳げない。

プールならば入れるかも知れない、と思うが実行には移せない。

生きているといろいろ出来る事も増える代わりに、出来なくなる事も出てくる。

そういう風に考えている。


かなり個人的な出来事を書いた。

でも、これを話す時は”笑い話”として話している。

だから、どうか「ったく、ドジなヤツだぜ、Mercedesって人間は!ハ、ハ、ハ!」 の調子で、どうかよろしく。

気が付けば 「THE SWEETEST PUNCH」 にカウント テン! ゴング鳴ってま~す!!

 私にとって一番心地良い音はクラシックギターの音。

クラシックでもジャズでもポップスでも、クラシックギターで聴けたらそれが私のベスト盤となる。

じゃそれ以外は聴かないのか?言うともちろんそんなわけは無い。

しかし、この辺が結構 イヤラシイ のだ。私はハイ・メンテナンスな人間ではない。決して!

それでもアメリカの友人ジュディーならば言うだろう。

「それは完全な ハイ・メンテナンス人間よ!」


ハイ・メンテナンス=映画で言うと「恋人達の季節」(かな?」のメグ・ライアン。

             場末のダイナーみたいな食堂でも、あれこれ注文をつける人の事。

             様は手のかかる人種。

ロー・メンテナンス=映画「恋人達の季節」のビリー・クリスタル。食堂のウエイトレスに「定食のA」以上。


 私はジャズを聴くならばピアノが良い。出来ればソロ。トリオもOK.でもドラムでシャカシャカ音立てないで。ギターも電気を通した音(エレキギターって書いたら笑われそう。でも、その手のギター)は私にはあまりにも甘すぎる。

クラシックは絶対弦楽器。ピアノはダメ。弦でもバイオリンよりもビオラ、ビオラよりもチェロ。

フルートはあまり好きではないけれどリコーダーとなると話しは別。クラリネットは大歓迎。

リュートに関しては聴いるだけで泣けてくる。

ここまで暴露すれば、私がどれ程好き嫌いの激しい人間かがばれてしまうか・・・・。はぁ。


しかし、私は運良くジャズのサイトで素晴らしい人達にめぐり合えた。

そしてジャズのギターが好きな方から幾つかのギタージャズのお勧めのアルバムを教えてもらった。

私は結構何でも聴く方だ。未だにロックもたまには聴くし最近はハワイアンも聴いていた。

そんな感じでお勧めのギターのジャズを聴いていた思った。

「甘さにも違いがあって、それが面白い」と。


ある年エルビス・コステロがバーとバカラックと一緒にアルバムを出した。

「Painted From Memory」

私はこのアルバムを大いに気に入りよく聴いた。

しかし、このアルバムのジャズ・バージョンを何度試聴してみても ”これは甘すぎる” と買えなかった。


そしてジャズの仲間と知り合い、ギターのジャズが聴けるようになって、私はやっとコステロのジャズのアルバムを買った。

「The sweetest Punch」

あの”甘くてとても聴けない”と思っていた音を私は一時期かなり聴いた。

まさにーsweetest punchを食らってリングに大の字に伸されてしまった感じ。


 最近知人がアコースティックでエルトン・ジョンの「Your Song」を演奏して歌った。

彼の横には彼の友人のギタリストが時折甘い音を奏でる。

あたしは「your Song」をギターで聴いた事が無かった。しかし知人の演奏はラブソングには良い感じの

程よく甘さの味わえるものだった。

私は演奏が終った後、ギタリストの人にギターの種類を尋ねてみた。それはまさに未知の世界。

彼が使っていたギターはエピフォンのカジノと言うモデルだった。

「Your Song」の優しい歌詞に時々控えめに、つややかなキャラメル色のごとき甘い音色が聴こえては消える。

私は久しぶりに聴いた「Your Song」にすっかり惹かれた。

そして思い出した。随分昔自分がよく言っていた言葉を。


「肌寒くなると電気が通ったギターの音が聴きたくなります」

そしてもうじき、秋が来る。

秋の楽しみ: 古楽を聴く

 今年も古楽音楽祭の季節が来た。毎年9月の二十日過ぎ辺りから4日間の催し。

今年を特に楽しみにしていたのはテーマが「バロック」だからである。

以前は違う県で催されていたこの音楽祭が私の住む街へやってきて7年が過ぎる。

夏の名残りの様な夕日を浴びながら会場となっている場所まで街の中心地から歩くと

少しばかり汗ばむが、それが出来るうちは歩こう、と思っている。


 今年は木曜日から3日間出掛ける予定でチケットを購入した。

木曜日はオープニングで大きなホールである。今年集まった世界で活躍する演奏家達が一同に揃う最初で最後の場でもある。

にも関わらず、私は木曜日、そのコンサートへ出掛けられなかった。


 木曜日は会社からお休みを頂いた。「この日お休みされて良いですよ」と先輩に言われた。

「木曜日を休むと金曜が祭日なので連休になります。もし連休をご希望の方がいらっしゃるようでしたらそちらの方へまわしてください」と言う私に先輩は「たまには連休も良いんじゃないですか。どうぞゆっくりしてください」

 甘えて木曜の休みをもらった。そして予定を詰め込んだ。

朝の10時から美容院へ言って髪を切って白髪を隠し、午後1時から3時近くまで英会話スクールで2レッスンを受けた。そして5時半からクリスと1時間英語で話した。

6時半になった時私はクリスに言った。

「あー、もう1時間。さっ終わり、終わり」

そんなに急がなくても良いよ、と言うクリスに私は

「じゃ、また来週ね。バ~イ」

と言ってクリスの顔もろくに見ないで飲み物の残ったカップをカフェのカウンターへ持って行き、すでに店を出たクリスの後から店を出て、うす暗くなった空を見上げ流れる雲を深呼吸をしながら仰ぎ見て、そして駅を足早に歩き始め、駅の階段を昇り、帰宅した。

部屋へ入って、バッグの中から読みかけの本を取り出す時に、バックの横についているポケットに入っていたその日のチケットを見つけた。一気に疲れが出た。椅子に座り込む。もう一度街へこれから引き返そうか、とも考えたがその思いは私にしがみ付いた疲れに勝つことは出来なかった。


 翌日仕事帰りにコンサートに出掛けた。2日目からはいつもなかなか居心地が良い、(と言うより、素晴らしく居心地が良い)小さなホールへ移る。好きな席に早く来た人から座れる。招待されている演奏家達も自分が演奏しない日は客席で演奏を聴いている。

その日私は一番後ろの左よりだが通路側の席に座っていた。

「お隣空いていますか?」

と尋ねた女性は毎年音楽祭で演奏している日本人のバロック・フルート演奏家だった。

私は、どうぞ、と答える。彼女は席について落ち着くともう一度私に声をかけた。

「少しでも中央に近い方がよくないです?席変わりましょうか?」

私は、毎年この席で聴いているんです、その必要はありません、と答えた。

開演5分前に今回世界から呼ばれた演奏家達が客席に入って来た。私の横にいた女性に声を書ける1人の演奏家。彼女はすぐに席を立ち、その演奏家に席を譲った。

「もう席空いていないのよ。この席に座って。私は予備の椅子に座るから」

そう言ってしまって彼女は私が座っている最後部先の後ろにあるドアと客席の間のスペースに予備の椅子を広げてかけている人達の中に混じって座った。

私の横にはベルギー生まれの有名なバロック・フルート奏者が座った。彼は笑顔で狭い席に座りながら「ハイ!」と私に言った。

 2年前は音楽祭の主催者が私の隣に座った。

この音楽祭が世界的に注目されているのに、なんだか自分の街の小さな音楽祭の様な規模で行われている事の良さを私はミーハー的に楽しんでもいる。音楽を楽しみながら。


 さて、毎年楽しみな古楽音楽祭、来年はオール・モーツァルト。どうしたものか、私はそれ程モーツァルトが好みではない。しかしモーツァルトをたっぷり聴く良いチャンスになるのは確か。やはり出掛けてみるかな、来年も。

節約ムードの旅

 両替したギルダーを左右のジーンズの前ポケットに入れる。そしてアムステルダムの中央駅を背にしてバッグを肩にかけ歩き出す。

5月も終りが近づくその日は晴天で30分も歩くと汗が出た。ユースが満員と言う事で安いホテルに電話入れてバス無しの部屋を希望したがあいにくバス付きの部屋しか開いていなかった。

それでもこのアムステルダムで数日過ごしたら1度日本へ帰る予定。そう思うと“まぁいいか”と思えた。ホテルまでの道のりは大通りを過ぎて幾つかの運河にかかる橋を渡り、ちょっとしたあるステルダム観光だった。

たどり着いたホテルは小ぎれいでシンプルな感じだった。

「駅から歩いてきたのかい?」

ホテルのオーナーは聞いた。

「ええ」

短く答ええながら額の汗をハンカチでぬぐい名前を告げる。

「駅から歩くには暑い日だね。あんたはバス付きの部屋だったね?」

「バス無しを希望したけれど、空いていなかったから」

そう答えるとオーナーはじっと私の顔を見ている。

「OK,バス付きの部屋を、バス無しの料金であんたに提供しよう」

オーナーは表情を変えず、そう言った。

「あー、すごい。どうもありがとうございます。助かります。」

トラベラーズチケットは十分残っていた。それでもこの年ヨーロッパを歩く事を考えると贅沢はしたくなかった。

オーナーは冗談を言った。

「部屋まで荷物を運ぶのを手伝おうか?」

「ありがとうございます。でも大丈夫です。駅からここまで歩いて来られたから、あと2階分の階段くらいなら荷物を持って上がれます」

「OK,気に入った。俺の名前はボブ。この辺りの事を教えておこう。ほら、これがこの近辺の地図だ。ここから出て左へ行くと細い通りがある。ショッピングがしたいのならここへ良い。高いが良い物が揃っている。買い物は好きだろう?」

ボブは日本人にきっといつもこう言っているのだろう。

「私は絵を見たいんです。その為の旅行だから、ゴッホ、レンブランド、フェルメール。それらが見られる美術館へ行く予定です」

ボブは私を再びマジマジを見る。

「分かった。この道を行けばゴッホの美術館、この道を今度はこっちへ行くと国立博物館。レンブラントが見られるし、フェルメールもある。市立美術館へも行きたいかい?それはこっちの方にある」

「どうもありがとうございます。それだけ分かればもう十分です。少し休んで早速ゴッホから出掛けます」

「夕食はどうする?」

ボブは街の説明をした地図を私に渡して聞いた。

「夕食も出すんですか?」

「俺が作る。うまいぞ。」

ボブが初めてかすかに微笑む。

「じゃお願いします。」

ボブは元の無表情に戻り大声で言う。

「6時から食べれる。その代わり9時までには食べ終わってくれ」

私も大きな声で答える。

YES, SIR



 ホテルを経つ日、節約したお陰で予定していたより現金が残った。

ボブが午後まで荷物を預かると言ってくれたので、私は数回尋ねたが買うことをためらっていた絵のポストカードを買うために国立博物館とゴッホの美術館へ出掛けた。

入場する時間もないし、ポストカードを買うだけが目的だった。

一か八かゲートに立っているガードの女性に話しかけてみた。

「実は何度か絵を見るためにここへ来たのですが、お金にあまり余裕が無かったので、欲しい絵のカードを買いませんでした。今夜日本へ発つのですが、節約したら少しお金が余ったので、カードを買いたいんです。でも中にもう一度入って絵を見る時間はないので、よろしければ私の為にフェルメールのカードを買って来てくださいませんか?」

その女性は真面目な顔で両手を腰に当てて私の話を聞いていた。そして言った。

「引き受けるわ。フェルメールのどの絵?」

「手紙を読んでいるものと、ブルーのドレスの女性の絵の2枚のカード」

彼女は私の渡すお金を持って博物館内に入り、数分後に笑顔で出て来て2枚のカードの入った紙の袋を渡しにくれた。

「はい、これがおつりね。」

「どうもありがとうございます。実を言うとこのブルーの服の女性は服の色がカードだと本物とは少し違うので買うのを迷ったんですが、やっぱり買えて嬉しいです」

彼女は私の言葉を聞いてこう言った。

「分かるわ。私もそう思っている。だから人は本物を見に来るのよ。本で見るのではなくて、本物を見るために、世界中からここへ来るのよ。あなたの様に。OK?」

真面目な表情の彼女が話し終えて笑顔を見せた。私も笑顔でもう一度お礼を言ってお辞儀をして博物館を背にして歩き出した。

ゴッホ美術館でもガードをしている男性に事情を話し、エキジビションで見たフェルナン・クノップスの描いた白いドレスの女性のカードというには大きすぎるA4サイズのカードの事を告げると

「じゃ、中へ入って自分で買って来なさい」

と淡々と言ってくれた。

大声で感謝の言葉を告げ、私は走って最上階で行われていた“ハーモニー”というエキジビション会場へ行き、お目当ての大きなカードを買って、エレベーターを使わず階段で一階まで駆け下り、そのままの勢いで込んでいる入り口でガードをしている男性を探した。彼は丁度私とは3メートルほど離れた入り口にいた。私は大声を張り上げて手にしたカードを頭の上に掲げた。

Thank you so much Sit !

その辺の入場者が一斉に私を見る。そしてガードをしていた男性も私を見る。微笑んでうなづいている。私はそのカードを胸に抱えてゴッホの美術館を出た。



貧乏旅行はした事が無い。いつもカードを持っているし、ユースに止まれなければホテルを見つける。レストランには入らないがドイツでは映画を見たりもした。

ユースで会う若い日本人達の中にはこう言う人もいた。 ―この街よりあの町の方がレートがいいですよー こうも言う。―貧乏旅行なんでユース使ってますー  そしてこうも言う-この街では革製品を買うべきですよ。このお店お勧めですー 

彼らは沢木耕太郎に憧れているのだろうか、それとも放浪する自分に酔いしれているのだろうか。私も似たようなものだから何も言えないけれど・・・。

それらをすべて容認しているかの様に私が出会った人達は優しかった。

夏休みの工作発表 : 万華鏡を作ってみました。

万華鏡 by 私作

いつもお邪魔しているseedsbook様の企画「空の挨拶」を心から楽しみ

「あー面白かった!」と思っていたら

昨日は「万華鏡」が話題だった。

なんと作り方まで教えていただきました。

脳のしわがほとんど無い私は、すぐに実行に移さないと、記憶が消えてゆく・・・・・。


そこで万華鏡を作ってみました。

材料は100円ショップでそろえました。

・筒。シャンプー用の手押しポンプ (やや大きめで少し後悔)

・ガスレンジ敷き (自分でもなぜ購入したか原因不明)

・お店で一番小さな鏡 3つ

計 ¥525


鏡に合わせてシャンプーの容器を切って、なぜかここでガスレンジ敷きを内側に巻く。

3つの鏡を入れて超端を料理用のラップで包んで、出来上がり。( 上写真 )


夕焼けの空、月、木々の葉など、撮ってみました。

とっても楽しいひと時でした。


seedsbook様

ステキなレクチャー、どうもありがとうございました。

写真の腕はよくないけれど、楽しんで写真を撮りました。

友人のお誕生日などに作ってあげよう!と思ったりしました。

次回はもう少し上手に作って、街の様子など見てみたいを思っています。


万華鏡 14 空           万華鏡 13 空


万華鏡 11. 空          万華鏡 12. 空


万華鏡 16 葉          万華鏡 10. 空

チョコレート工場の見学に行こう!

チャーリーとチョコレート工場

 ジョニー・デップのファンの方にはこの映画の彼がどの様に評価されるのか分かりませんが

私はこの映画の彼が大変好きです。

とってもきれいな表情、無邪気な笑顔、夢の世界の王子。

そんな世界の主人公に彼を選んだティム・バートンに「ビンゴ!」と言いたい気分です。

もちろんオリジナルの方が素晴らしいとおっしゃる方がいらっしゃるでしょう。

それでも、この映画を見て、ちょっと笑って見ませんか?

私は工場のシーンからラストまでは何だかずっと笑っていた気がします。

取り立てて可笑しなセリフは無いのですが、工場のいろいろな場面が私の心をくすぐりました。

特に音楽。

タイプの違う音楽が4人の子供たちの為に歌われますが、私はそれらにハマってしまったようです。

パロディではないけれど、聞いていると誰か、もしくは、いつかの時代を思い出す感じ。

それらの曲を目を輝かせながら聴いているジョニー・デップがまた世離れしている風で楽しい。

それに結構使い古されたギャグをやるジョニー・デップ。そこがまた私にはたまらなく可笑しいのですよ。

そしてチャーリー役の子供と彼の家族は私を微笑ませます。

やはりずっと笑っていたみたいです。


疲れている方、ほんの2時間ほど、にこやかになって見ませんか?

「期待して出掛けたけれど、それ程でもなかった」とお嘆きになるかもしれません。

それでも、きっとちょっとくらいは笑えたかも。

私は夢に”彼ら”が出てきそうで、心配になりましたよ。

願を候

 先程書いた「桃太郎侍語録公認類語」、タイトル変更をしたいと思いました。

なるど堂さんからのご指摘、アドバイスで少し日本史が分かった私。

タイトルは「暴れん坊将軍語録公認類語」へ変更・・・・・・・・・・出来たらいいなか・・・。


もっと時代劇を見なくては!

なるほ堂さん、感謝いたします。

桃太郎侍語録公認類語

 私の友人に眼科に勤める看護師がいる。

ある日、80代の男性の患者さんが目の検診に来られた。

その方はいつも2,3ヶ月毎に検診に来られる。

そして来院の度に、逆まつげの抜いてもらっていらっしゃるとの事。


その日はいつも使われている目薬が切れていた事もあって、先生にこういわれた。

「先生、もう目薬が切れとりますから、またいつもの出してください。

あーそれから、逆まつげを成敗するような目薬は無いですか、なにか良い目薬・・・」


友人は”成敗”に反応してしまった。

初めはその方の手前、にこやかに笑っていただけだけだったが

帰宅して考え始めた。

・・・きっとあのおじいさん、前世は水戸黄門が桃太郎侍だ・・・・・


この話を聞いて私は友人に言った。

「日本語ってイイねぇー!”成敗”か・・・・。使いたいなぁ、私も。

まさに、『我は善、お主は悪じゃーー』って感じよね。イカスよこの言葉。

そう思わない!?」