The Punk | Mercedes's Diary

The Punk

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 日曜日、散歩のつもりで夜若者の集まるにぎやかな周辺へ出掛けた。

お芝居の関係で、ここへは何度も通ったが、オンロードにあるビルでお芝居をした私は

結局、それほどこの町の事も知らずにいた。

ぶらぶら歩いていると、ガウディのアパートを模写した建物に出くわした。

ビルの1階のフロワーはタバコをすって、やたら黒い服を着た若者が座りこんでいる。

私はビルに興味を持って、1人の男の子に聞いてみた。

「このビル、普通の住宅ですか?」

「イエー、ライブやってる階が幾つかありますよ。僕らもやります。パンクですけどね。5階です。良ければどうぞ。楽しいですよ」


彼の薦めに応じて、散歩のつもりの街の探索が、ガウディのアパートに出会った事で新たな展開を見せた。

「ライブを聞こう!」・・・・・しかもパンクらしい。

パンクなんて1979年に Tom Robinson Bandに夢中になっていた時以来聞いていない。

あの頃のTomの音楽はポップスだとも言われていた。

現在のパンクは、どう変化しているのだろう・・・・・。


3つ目のバンドには驚いた。アコーディオンが入っているパンクバンド。

アコーディオンの音色の為か、ケルトか、アイリッシュの言葉が頭に浮かぶ。

そしてパンクでありながら、なぜか熱くならずに、心がスーッと気持ちよくなる。

面白いバンドだと思った。


4つ目のバンドは人気のバンドらしく、ステージの前に、髪を鶏冠か、鉛筆の芯のごとく硬く固めた髪をした連中がドカドカやって来て、ライブが始まる前からなにやら叫んでいる。

バンドの連中が揃うと歌う前から客席から掛け声と叫び声がする。

そして始まった演奏は、私の体にそのビートを叩き込んだ。

初めの一曲を聴いて彼らのビートが私の体を微妙に振動させている事に気づいた。

2曲目が始まると私は音楽とは関係ないことに気づいた。

ボーカリスト。ランニングシャツから出ている背中や両腕にところ狭しと入れられている刺青。

きれいな顔のボーカリストは表情を歪め、観客に叫びかけるように前かがみになって思いを激しく吐き出している。

私は持っていたデジカメに撮れる限り彼の写真を撮った。

彼は面白く素晴らしいphoto genicだった。

私にはもう聞けない音楽な気がするが、チャンスがあれば、彼の写真はもっと撮ってみたいと思う。